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私たちについて

サンタクロースは昔、キツネだったか?

これまで描いていたクリスマスカードに加え、2021年より大磯町のサンタクロースを描くようになりました。それは、大磯町の歴史を調べているうちに、キツネの存在と、サンタクロースの存在がとても近いものじゃないか、と思えてきたからです。2021年11月に茅ヶ崎・クリエイティブスペースハヤシにて行った「クリスマスのものがたり」展にて大磯の字地名マップとともに大磯のサンタクロースの絵を展示し、この思いつきを紹介しました。

「大磯丘陵里山歩きマップを作る時に大磯の歴史をいろいろ調べた。「大磯の民俗」という町が発行した本に、口承文芸コーナーがある。そこには大正から明治生まれの長老たちから聞き取った、子ども時代に見聞きしたことが、本人の口調そのままに記されていて、その時代の空気感が伝わってくる。

このコーナーの題材で一番多かったのがキツネに騙された話だった。

キツネに憑かれておかしくなった、同じところぐるぐる回された、川の中に入らされた、などなど、いかにもという話が町内各地で聞きとられている。

そしてそのキツネは一般名詞としてではなく、「椿森のキツネ」とか「垂氷のボッコギツネ」とか、固有名詞で名指しされて登場することが多い。

読んでいると、だんだん不思議な気持ちになってくる。みんな、狐に騙されることを、比喩や胡散臭い話、として語ってるのではなく、実際にあったこととして語っているから。そのことをどう捉えたらいいのかモヤモヤしてる時にこの本を見つけたのだ。

「日本人はなぜ狐に騙されなくなったか」内山節著

ここには、自然や教育や価値観の変化によりキツネに騙される能力がなくなったのが一因、とある。逆に言うと私たちの祖父母より前の先祖はその能力を持っていた。

きっとその社会は、「不思議なこともあるもんだねえ」といって不思議なこと、説明がつかないことをそのままにしておいていたのだ。それは夢があって楽しくないか。恐ろしい魔物が潜んでると思うことはピリッと緊張感のある世界じゃないか。ちょっと変わってても許される包容力のある世界じゃないか。

科学で説明がつかないものは間違い、とされてしまう今、その時の空気感を想像することは難しいけど、実はそういう世界に、今も住んでいる人たちがいる。

そう、それは、サンタクロースがいる世界に住んでいる子どもたち。不思議なことばかり起こるクリスマスだけど、サンタクロースの存在も含め優しく包み込んでいる。

子どもたちに教えてもらえば、キツネに騙されていた時代の空気が想像できるかもしれない。私たちももう一度、不思議なこともあるもんだねえ、ですまされる、包容力のある世界の住人になれるかもしれない。

キツネが住んでいた里山を歩きながら、サンタクロースの足跡を探しに行こう。子どもたちに道案内をしてもらえばきっと見つけられるはず。」

2022年には大磯のサンタクロースの絵は10地域に増えてクリスマスカードとして紹介しています。

西小磯宮ノ脇/白岩神社、中入、赤坂、万台、海辺/東海道松並木、古屋敷/ししまいマルシェ、東小磯宝山、神明町mar y montana 、北浜オオシバナ、虫窪上入。

今後も大磯町のサンタクロースを字地名とともに描いていきます。

イラストレーター オダギリミホ

santainOiso_all.jpg
小字地名マップ
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