大磯丘陵里山歩きマップのこと ②谷戸川のこと
- オダギリミホ
- 2021年4月9日
- 読了時間: 2分
なんでも知っている、と思っていたこの小さな町なのに、2,3年前に知り合った友人のSNSの投稿で知った谷戸川。その写真は、深い深い山間の渓流のようで、本当にこの風景が町内にあるの?と驚いた。
それは「谷戸川渓谷をきれいにする会」の活動についての投稿で、行ってみると、住宅街からさほど離れてないところに見たままの渓流があった。だけど林業が廃れた人の手が入っていない山から木々が倒れ込み、長年の不法投棄もあって、元の美しさを覆い隠す様に荒れてしまっている。こんなに近いんだから私もきっと通ったことがあった筈だ。だけど、美しさを見出せず荒れている場所としか認識できなかったんだ。でも、大人になってからこの川に出会った友人はその本来の姿を見出すことができた。そしてその姿を取り戻そうと清掃活動を始めた。その活動はもう何年も地道に行われ、先日は近くの高校生が授業の一環として活動に参加している。高校生にとってもすごくいい体験だと思う。

きっとこういう川は日本全国にある。なんとかしたくても一人の力ではどうすることもできず、そこで立ち止まって考え始めたらキリがないから心を無にして通過する。
この川はたまたまこの友人と出会うことができた。それでも毎年の台風のたびに倒木は追加されるしこんなに活動しても更なる不法投棄もあって本来の美しさを取り戻せたわけではない。でも、ここを通る人たちが、心を無にして見て見ぬふりをしなくてもいいくらいになっている。なんか気持ちがいいところだな、と思える様になってると思う。
今回のマップ作りで、これほど大掛かりではないけれど、たったひとりの人の行動がその道、山、地域をなんか素敵な心地よい場所にしている地点がいくつもあった。
例えばある山の入り口。なんかそこだけ素晴らしく山道がきれいで気持ちがよくて輝いててたから、そこで竹を切っていた方に聞いたら、その方が自分の家の前と、両隣の方の土地を、一人で何十年も手入れをしていた。私が思わず、こんなに広いところを大変ですねー…って言ったら、だって気持ちがいいでしょう、と言うのだ。たぶん、そこを通る人もその紳士ご本人も。そしてこの紳士ひとりのおかげで、この山は、なんかとてもいいところだったなーという印象になっている。

たった一人では何もできないと思いがちだけど、いつも始まりはたったひとりの行動なのだと、今回とても実感した。
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